近頃話題の低温調理器ANOVAを購入してみました。
低温調理は、海外のサイトでは、フランス語で真空を意味する sous vide で表記されることが多い様です。
このため、「真空調理」と呼ばれる事が多いですが、チャック付き袋に入れて空気を抜く目的は、出来たらすぐに食べてしまう家庭レベルでの調理で考えると、間に空気が入っていると熱が伝わりづらくなってしまうので、それを防ぐためです。
フリーズドライでは、冷凍した後に気圧を下げて凍った水分を昇華させるため、真空である事が大きな意味を持ちますが、真空調理では、空気がない事には熱伝導を阻害する要因を排除する以上の意味は無い様です。このため、低温調理と表現する方が適当かなと考えています。
低温調理とは、50℃~65℃(素材によっては温度範囲が広くなることもあるでしょうが・・・)の温度で時間を掛けて加熱する調理法です。
筋肉を構成する蛋白質は、筋肉を動かすための蛋白質(収縮蛋白質) ミオシン、アクチンが成分の大半を占めています(ミオシン60%、アクチン20%)。
両者は熱で変性しますが、変性する温度が異なり、ミオシンは50℃、アクチンは65.5℃で変性を始めます。人はミオシンは変性しているが、アクチンは変性していない状態を美味しいと感じる事が多い様で、50~65℃の間の温度に加熱してあげれば美味しい肉が出来上がる事になります。
これまでの調理法では、100℃からそれ以上の温度で加熱し、肉の内部に熱が伝わるまで時間が掛かる事を利用し、加熱時間を調節する事で内部の温度が50~65℃の範囲で加熱された部分が多くなる様にして、美味しい肉を焼き上げようとしていました。
これに対し、低温調理法は、材料をチャック付きビニール袋に入れ、空気を抜いて熱が伝わりやすくした上で、最初から50~65℃のお湯に入れて加熱し、時間を掛けて全体が50~65℃になる様にする調理方法です。
このため、調理に時間が掛かりますが、素材の種類と厚みに応じた時間分の加熱をすれば、アクチンが熱変性する事が無く、素人でも美味しい肉の調理が出来る事になります。
この様な状態の調理を簡単に出来る様にしたのが今回購入したANOVA Precision Cookerです。温度センサーで管理されたヒーターで水を温め、攪拌する事で全体を均一な温度になる様に調整してくれます。
具体的な調理方法は、下記の様になります。
1. 常温に戻した素材に下味を付ける
2. チャック付きビニール袋に材料を入れ、水に沈めるなどして空気を抜き、チャックを閉める
3. 鍋の水温を所定の温度まで上げておく
4. チャック付きビニール袋に入れた素材を鍋に投入し、所定の時間が経過するまで待つ
5. 取り出して表面を軽く焼く。(香ばしい香りを付けるため)
真空調理法でステーキを調理する
ANOVAで真空調理のローストビーフ
温度と時間を管理すれば上質な料理が仕上がる点は良いのですが、デメリットもあります。十分な加熱がされないと、殺菌が不足し、食中毒のリスクが高まる点です。材料に応じて適切な温度と時間で加熱し、十分な殺菌を行う様にしなければなりません。
安全を確保するための加熱時間ですが、私は下記を参考にしています。
Sous Vide Cooking
まだまだ始めたばかりで勉強している最中なのですが、以下に参考になりそうなURLを挙げておきます。
低温調理のまとめ 理論、器具、ノウハウ
まだアクチンの熱変性で消耗してるの? – 低温調理による革命的肉食のすすめ – #ヨーグルティア肉
「収縮タンパク質」はどんな働きをする? - 日本食肉消費総合センター
筋のタンパク質 - カラダ university
真空調理または低温調理まとめ - 俺的メモ。
ボタンを押して放置するだけで極上料理が完成するという真空調理器「Anova Precision Cooker」を使ってみた
低温調理、真空調理、SousVide [転載禁止]©2ch.net
0 件のコメント:
コメントを投稿