2024年4月11日木曜日

営業電話 - 116.6kg

 固定電話に1コールだけで切れる電話が掛かって来ることがありますが、あれって何なんでしょうね。

私の推察では電話番号の死活確認。ある地域に割り当てられた電話番号に対し1コールの電話を片っ端から掛けまくり、呼び出し音が鳴れば使われていて、使われていないとのアナウンスが出れば現在未使用と判定し、生きている電話番号のリストを作っているのではないかと思っています。1コールで出る人は稀ですから、1コールで切って確認すれば、電話番号が使われていようが、使われていまいが、電話料が殆ど掛からないんですよね。

そうやって生きている電話番号リストを作成する目的はおそらく電話営業。雇われオペレーターがPCのボタンを押すと有効性確認出来ている番号に発呼する様な仕掛けを用意しておけば、使われていない電話番号をコールした際に発生するオペレータの作業時間ロスを減らす事が出来ます。その分、時給を有効に使える事になります。

この種の営業は断られるのが前提です。その上で1%とかの確率で顧客になってくれるという世界なので、電話が繋がった件数が多くなる程、売上が伸びます。オペレータを雇う側としても、効率よく電話を掛けられる事はメリットがあります。それが事前の1コール回線チェックで殆ど金が掛からず効率化出来るならやりますよね。また有効な電話番号リストを作成する部分だけ担当して、そのリストを売る業者がいるかも知れないですね。

こういった営業電話はコールセンターみたいな所でやっているので、バックに電話オペレートのざわざわした声が聞こえて来るのが通例です。そこで、そんな背景音が聞こえてきたら、

「営業ですか?」

と聞いて、

「そうです」

と答えたら

「要りません」

と言って切る事にしています。ただ最近、「営業では無い」と答えるパターンが増えて来ています。

「営業ではなく、買い取りです」

というパターンです。売るのではなく買うのだから「営業」では無いという事なのでしょうが、買い取りと言っても、訪問までしたコストを回収するつもりで来ているので、招かれざる訪問者である確率が高いです。なので、

「売るものはありません」

と断って、とっとと電話を切る事にしています。

ただ、大阪の寮暮らしの時、営業電話に付き合った事があります。

夜、トーンの高い若い女性の声で電話が掛かって来て、とりあえず電話に付き合ってあげる事にしました。

「どちらにお住まいですか?」

と聞いて来たので、こちらの住所は把握していなそう。とりあえず正直に、

「北千里で」

と答えたら

「えーっ、そうなんですか、私も大学、北千里だったんですよ」

といかにも営業電話にありそうなパターンで攻めて来ました。北千里近辺にある大学は限られるので、どこの大学か聞こうかと思ったのですが、そんな野暮なことはせず、話を聞いていくと

「服とか着ますよね。今度、駅ビルの店でセールやりますから来ませんか?」

と本題に入って来ました。そして具体的な来店の日時までアポ取りをしようとしてきます。こういうのを下手に約束だけしてすっぽかそうとかすると、後で待っていたのに来なかった。待つために人件費がいくら掛ったからとか妙な請求が来る可能性もあるので要注意。

当時は、オウム真理教が世間を騒がせていて、テレビで教団の出家者が着ていた「サマナ服」というのを目にする事が多かったので、

「服は着るんですけどね、オウムのサマナ服って知ってます?私、あれしか着ないんですよ」

と言って遊んでみました。

これまでの会話はマニュアルにあり、研修を受けた筋書きだった様ですが、オウム真理教のサマナ服しか着ないという筋書きに対するマニュアルは用意されていなかった様で、ちょっと困ってしまった様でした。で暫らく別の話題に行ってから繰り出してくる言葉は、

「でも服とか着ますよね」

これに対する私の答えは

「サマナ服しか着ないんですよ」

結局、これの無限ループを繰り返し、1時間程度の長電話となり、向こうも諦めた様で電話が終了しました。

長い電話だったなと思い、トイレに。そして戻ってくると、また電話が鳴りだしました。

今度は何だろうと思い、電話に出てみると、女の声なんですが低くてドスが聞いた声が聞こえて来ました。早口で何を喋って来たのですが、何を言っているか聞き取れないなと思っている内に切られてしまいました。

何を言って来たのか気になり、録音出来ていれば良かったのにと思いながら頭の中で再現してみると、

「ふざけてんじゃねーよ」

みたいな事を言っていた様に思えました。

営業電話が終わってから5分くらいの時間が経過しているので、もしかすると、1時間も電話をしてアポ取れなかったので雇い主にドヤされて、腹いせに電話を掛けて来たのかも知れません。

確かに雇っている側の立場からすると、1時間も話してアポを取れないのはオペレータとして無能ですし、アポが取れそうにないと思ったら、とっとと電話を切って次に行けと言いたくなるだろうなと思いました。

仮に私の推察が当たっているとした場合、彼女はやはり無能なオペレータです。だって、アポが取れなかっただけではなく、最後に一発脅かしてやろうかと思ったのだとしても、その内容が相手に伝わっていないんです。

電話で相手を脅かすのであれば、その内容が相手に伝わる様に話す必要があります。仮にバイトであれ、金を貰っている電話オペレータであれば、相手に自分の意志を伝える事はプロとして必須な事。

彼女はプロ意識が足りない無能なオペレータだったんだなと思うと共に、自分が金を貰って仕事をする時には、プロとして恥ずかしくないレベルをしなければと、この電話を通じて思いました。

彼女は無能なオペレータではありましたが、ある意味、私にとって良い反面教師でした。プロとしての仕事とは何かを考えるきっかけを与えてくれた営業電話に使った1時間は、私にとって有意義な時間だったなと思っています。

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